2013/07/01

PART.22 連覇の将 エリック・スポールストラ

$ブザービーターのブログ

将軍グレッグ・ポポビッチ率いる古豪サンアントニオ・スパーズをNBAファイナル第7戦で下したことで、これから始まるあろう頑強なマイアミ王朝を誰もが予感した。今シーズンは運も味方につけていたスパーズだったが、第6戦レイ・アレンがその運を捥ぎ取る形で勝利。最終戦も接戦ではあったもののヒートからは6戦の流れからくる心強い意味での余裕が感じられ、昨シーズン王者マイアミ・ヒートの連覇で2013NBAファイナルは幕を閉じた。ファイナル最終戦における接戦での勝利は何よりも意味のある経験となる。この勝利で、リーグ最高のチーム経験値を誇るスパーズと経験値の面で並ぶとも劣らないチームへヒートは成長した。

NBAの「キング」であることを再度証明したレブロンだったが、今ファイナルでその存在意義を証明した人間がもう一人いる。マイアミ・ヒートHC(ヘッドコーチ)、エリック・スポールストラだ。13年間ヒートの裏方に徹し、名将パット・ライリーに後継者としれ認められた初のフィリピン系アメリカ人HCである。

彼の父がヒートのビデオコーディネーターだったことから、スポールストラは1995年ビデオコーディネーターとしてヒートに加わった。2年後にアシスタントコーチの役職に任命されたが、ビデオコーディネーターを兼任する形での就任。彼の情報の集積や読み取りが既にチームに必要なピースとなっていたことがわかる。その後アシスタントコーチやスカウトなどで経験を積み、2008年にビッグチャンスが訪れた。名将パット・ライリーが自身の後任に彼を抜擢。ヒート入団13年目にして遂にHCに就任することとなったが、NBAでのプレー経験がなく、HC経験もドイツのプロチームで2年間だけという経歴で、この就任は予想外以外のなにものでもなかった。それも年齢はリーグ最年少の38歳。当然周囲は彼の実力を怪しんだが、5度の優勝経験を持つカリスマ、あのパット・ライリーが指名した人物に間違いはなかった。

就任2年はウェイドの故障、シャックの移籍等でチームは低迷したが、2010年にレブロン、ボッシュの加入でBIG3時代に突入。2年後の初優勝ではBIG3のお飾り扱いでヘッドコーチとしての手腕を認められずにいたが、今シーズンはその手腕がゲームに明らかな影響をもたらした。GAME1、GAME2と調子の良かったクリス・アンダーセンをGAME3、GAME4、GAME5では一切出場させず采配に疑問が持たれた。しかしシリーズの山場と踏んでいたGAME6、GAME7では要所でアンダーセンを起用。冷静に分析すれば、序盤の良いアンダーセンをそのまま連続出場させれば層の薄いビッグマンポジションの限界値が早々に見えてしまい、スパーズに対策を打たれればそれまでの構成となってしまう。恐らくそれを見越しての采配だったのだろうが、一戦一戦が何よりも重いNBAファイナルでこのプランを使うには相当な度胸と大局を見通す力が必要となる。結果アンダーセンはダンカンを抑える壁としてGAME7活躍した。
また、それまで不調のため10分以下の出場だったシェーン・バティエをGAME7では序盤から起用。連続5本の3Pシュート成功でファナル制覇に貢献した。それもスポールストラHCの手腕と言える。大舞台での頭脳戦で名将グレッグ・ポポビッチHCと対等に渡り合う姿を見た。

今期は特にだが、BIGネームを揃えただけでチャンピオンになれる程NBAは甘くない。高いレベルにある選手と監督が理解し合うことで、初めて優勝に手が届く可能性が見えてくる。レイカーズやネッツのように、良い選手を揃えられる資金を持つチームはいくつもあるが、NBAを制覇するような良いHCの人数は極端に少ない。選手とHCのレベルが今の域まで高まったマイアミのスリーピートを止められるチームが新たに出現する可能性は低いと言わざるえない。


何故か面白いスポさん

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