優秀な個人成績は残すもののチームを勝利に導くことはできない。ステフォン・マーブリーはその代表格と言える選手だったかもしれない。憚ることのない言動で周囲に敵を作り、結果NBAを去った彼に「悪」のような印象を持った人間も多かったが、彼の見せる人として尊敬せざる得ない部分を理解した上でもう一度彼を評価してもらいたい。
人口の約25%が貧困層であるニューヨーク・ブルックリン。貧しい黒人が多く住むコニーアイランド地区で育ったマーブリーはやはり貧しさと共に育った。最新のバッシュなど手が出るはずもなく、そもそもバッシュを履いてプレーする少年の方が少ない。マーブリーが初めてバッシュを履いてプレーしたのは小学6年時。バスケットのコーチにシューズを貰ったことが、彼の精神の原点となった。
NBAで成功を掴んだマーブリーは自身のブランド「starbuly」を立ち上げ、貧しい子どもたちでも買えるよう10ドル以下の値段でバスケットウェアを販売した。その後発売されたシューズ「Starbury One」はなんと14.98ドル。このシューズがどれ程子供たちに夢を与えただろうか。マーブリーは類を見ない低価格のバスケットシューズについて「コーチからシューズを貰った恩返し」と語る。
それほどまでに安いシューズの機能性は問題ないのだろうか。誰もが持つであろうその疑問に対し、マーブリーは最も効果的な証明をしてみせた。彼はNBAの舞台で、その安価なシューズを履いてプレーしたのだ。それもキャリアを通して。マーブリーは「大事なのは履いている靴なんかじゃない」ということを身を以って子供たちに伝えた。
マーブリーは寄付活動にも精力的で、他者の悲しみに涙を流せる人間だった。ハリケーン・カトリーナで被災したニューオーリンズの子供たちについて涙ながらに語り寄付活動を行う。また自身も50万ドルと100万ドルの寄付金を贈った。NBAではチームを強くできない選手だったが、決してチームメイトを想わない選手ではなかった。ニックスのチームメイトだったジャマール・クロフォードが今期絶望の怪我負ったことをマーブリーに知らせた際は、「最初はからかっているのかと思った。若い選手が怪我をするのはとても見ていられない」と涙を流した。
問題行動も問題発言もありコートで多くのブーイングを浴びたが、彼は「バスケットボールは趣味だ。人生ではない」と言い放った。それは一見強がりのようだが、彼は自分の人生において何が大切かを理解しているのだと感じる。大金を稼ぐだけならNIKEでもADIDASでも契約を結べただろう。そうではない何かに彼は重き置いたのだ。それこそ彼が子供たちに伝えたいことだったのではないだろうか。
2008-09シーズン終了後NBAで契約を結べなかったマーブリーだが、中国リーグでは献身的なプレーを見せている。また契約の最終年にはAC兼任の可能性もあるなど、指導者としての一面も評価されている。訴訟問題で暗証に乗り上げた「starbuly」だったが、中国で多額の融資を得るなど、彼の新たな可能性が見出されている。
2001年のオールスターでは最後に2本続けて3Pを沈める活躍!良くも悪くもシュートに積極的です。オールスターにも出たマーブリーは子供の頃から周囲と何段階も違ったようです。うろ覚えですが、中学生のとき高校生の試合に乱入し、ボールを奪い、止めにかかる人々をドリブルで振り切り3Pを沈めて逃げたという話を本で読みました。天才だし、頭がおかしい。けれど個人的には好きな人物像です。
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