2014/04/07

PART.56 還って来た禅マスター フィル・ジャクソン



ゆっくり老後を送るかと思いきや、あの優勝請負人がNBAに還って来た。

シカゴ・ブルズで2度の3連覇、ロサンゼルス・レイカーズでは3連覇と連覇の5回の優勝。監督として11個のチャンピオンリングを保持し、通算勝率はリーグ歴代最高の70.7%。あの生きる伝説が、選手として11年のキャリアを過ごしたニューヨーク・ニックスで手腕を振るう。

マイケル・ジョーダン直撃世代でない場合、フィルについて多くを知っている人間は少ないだろう。しかし、彼こそチャンピオンのタイトルが手に入れられずにいたマイケル・ジョーダンを絶対的な神へと昇華させた人物に他ならない。異端を異端として扱わず全てをエンジョイする禅マスター。彼の懐は信じられない程深い。

今でこそダークスーツに身を包んだダンディーなおじさまだが、若いときのフィルは完璧なヒッピースタイル。髪を伸ばし髭を伸ばし社会に自由を訴える。歴史の古い覚せい剤LSDの使用経験もある(ヒッピーの象徴だわな)、反体制的な思想の持ち主だった。2度の優勝、そして選手兼監督を務めた希有な存在であり、NBAの下部リーグであったCBAで最優秀監督賞を受賞したフィルがなかなかNBAから声が掛からなかったのは、こういった思想が経営者にウケなかったという理由が主だろう。後に6度の優勝を果たすシカゴ・ブルズの面接にヒッピースタイルで現れ、普通に落とされている。

※補足
落とされたフィルは他様々な理由から転職を決める。職業適性検査を受けたがオススメは「羊飼い」だったらしい。既に4人子供がいて羊飼いは厳しいということで弁護士になろうと大学へ行く準備をしていたとき、他チームからコーチの引き抜きをされ人でが急遽足らなくったブルズがフィルを呼んだ。その後手腕を発揮するフィルだが、GMのジェリー・クラウスは「俺がお前を掘り出してやったんだからもっと感謝しろよ!」といった態度を露わにする。それに嫌気の限界が来てフィルはブルズの監督を引退した。

日本の「禅」を学び、ネイティブ・アメリカンのコミュニティーに足を運ぶなど、言うなれば「変わり者」のフィルは「変わり者」を白い目で見ない。誰にも制御できないと思われたデニス・ロッドマン。夜通し語り合い彼を「理解」することで、共にブルズ最強時代を作り上げた。レイカーズ4度目の優勝時、優勝パーティに無許可で侵入して自分を売り込んだメッタ・ワールドピース(当時ロン・アーテスト)。当然礼を欠いた行為だったが、フィルは話しを聞き、メッタをレイカーズに加えた。

彼のチーム作りは「規律」でなく「調和」を重んじる。個性を好み、一芸に秀でたサブメンバーを組み合わせ、最高の結果を生み出す。適材適所で人材を配置するのはチーム作りで当たり前のことだが、それが正確に出来る人間はそう多くない。監督として指揮をするわけではないが、彼がニックスを運営するなら意味不明にバルニャーニを獲るような采配にはならないだろう。今後のニックスには期待したい。


選手時代のフィル。マーク・ガソルみたいだ!


またあの笛が聞きたいですね~(´∀`)

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