2013/12/16

PART.42 THE GLOVE 2



ゲイリー・ペイトンの何が凄いかというと、具体的なものがあまり出てこない。なんたってディフェンスマスター。数字で表すことの難しいジャンルを極めていた男だけにその凄さを文章にしにくい。さらには、90年代を代表するトラッシュトーカー。今やNBAで封印されつつあるジャンルのスターだ。

PGで初のディフェンシブ・オブ・ザ・イヤーを獲得した功績は尋常なことではない。しかもかなり地味な方向で尋常じゃないことをしている。ビッグマンならブロックショットという手段があるし、見た目も派手だ。だがPGとなるとそうそうブロックは出ないし、スティールもぽんぽん出るものじゃない。じゃあ何を頑張るかというと、とにかく「シュートを打たせにくくする」ことに全力を出すわけだが、これは言う程簡単じゃない。

賞を獲得した1995-96シーズンのペイトンの在籍したシアトル・スーパーソニックスは絶好調だった。シーズン成績は64賞18敗のリーグ2位。その勢いで激闘の末NBAファイナルに進出した。ファイナルの相手はデニス・ロッドマンを加えて勝率1位の72賞10敗を記録した最強シカゴ・ブルズ。正直勝てる相手とは言い難かった。

結果は4勝2敗でブルズがファイナルを制したが、このゲームでペイトンの最も強い部分が見られる。ソニックスにとってこのファイナル最も厄介な相手はやはり神様マイケル・ジョーダン。NBAファイナルで50点代の得点をする化け物を、ペイトンは20点前半に抑えた。

バスケットはルール上オフェンスが優位なスポーツであり、ことNBAはショースポーツであるため点の入りやすいルールとなっている。またどんなに厳しくディフェンスをしても、ジョーダンクラスになれば平然とタフショットを決めてきたりもする。しかし、ペイトンはディフェンスのスタンスを変えることがなかった。どんなショットを決められても何も変わらない厳しいディフェンスを続ける。ジョーダン相手にこれが出来るのは、歴代のNBA選手でもペイトンしかいないのではないだろうか。

ペイトンの凄さを文字や言葉にしにくいのは、彼の一番の武器が精神力の強さにあったからである。相手を手玉に取っているというより、どんなに突き返しても何度も何度も浸食してくるタイプ。その精神力は勝負所でも発揮され、2006年ヒート在籍で挑んだNBAファイナルGAME3では、4Q残り9.3秒で逆転のジャンプショットを沈めヒートの連敗を食い止める活躍を見せた。 また当時37歳でありながら、ファイナルの重要な局面は殆どペイトンがPGを務める程チームからの信頼が厚かった。

ざんざん書いてみたがやはり見た方が早い。ディフェンスだけではなく、独創的で正確なパスや、平均20得点する得点力も備えた万能型PG。とんでもないスキルを持っている。日本でプロでもないのにトラッシュトークをやるとかなり嫌われるので真似するべきではないが、ガード選手はディフェンスの間合いの詰め方など学べる点は非常に多いだろう。



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